職員海外研修報告(2002年度)
職員海外研修報告(2002年度)
スウェーデンの図書館を訪問して
国立大学図書館協議会の海外派遣事業による海外図書館の視察
平成14年10月1日~9日
平成14年10月1日~9日
スウェーデン王立図書館
16世紀半ば、王宮内の書庫に並べられたエリック4世の私蔵本から始まりました。スウェーデン国内の印刷所から出版物すべてが納本されます。スウェーデン人ならだれもが知っている偉大な作家、ストリンドベリ(1849-1912)は、この王立図書館に一時勤務していました。今でも職員の誇りです。スウェーデン語の図書(原書)と日本語の図書(翻訳)を用意して歓迎してくれました。
ストックホルム大学図書館
学生3万4千人、蔵書250万、人文学部をはじめ13分野にわたる分館を持つ大規模な図書館です。4500タイトルの電子ジャーナルを利用することができます。図書館のスタッフルームは個室で、スタッフのための広々としたキッチン付き休憩室もあります。昼休みのほか健康のために毎日1時間「運動をするための休憩」をとっていいそうです。
ハーネサンド総合図書館
ハーネサンドのコミューン(町)図書館とレーン(県)図書館と中部大学図書館を1ヶ所に集合させて、2000年2月ハーネサンド総合図書館ができました。りんごのスベリ台を中心とした児童コーナーは人気があります。壁の「大きな青い丸印」は館内のどこからでも見えるので、お母さんと子供たちの待ち合わせ場所になっています。大学生のための学習室は24時間利用可能となっています。学習室はIDカードで管理されています。
スンズバル図書館
公共図書館には「消費者センター」「行政資料」「EUコーナー」があります。図書館には利用者が政治や経済について市民が自分の意見をもてるように、それらの情報を知らせる「義務」があります。
マルメ図書館
図書の返却が遅れると罰金30円を支払います。このお金は新刊本の購入に当てます。1日5000冊の返却本はロボットが仕分けをしています。カウンターからベルトコンベアーで図書がロボット室に運ばれていました。
ルンド大学図書館
ルンド大学図書館は王立図書館と同様にスウェーデン国内の印刷所からすべての印刷物が納品されます。印刷物=文化遺産の保管と貸出がルンド大学の大切な業務です。400万冊の蔵書はルンド市内の倉庫にも納められています。100%閉架図書になっています。利用者からの図書請求に対して翌日の12時までに図書を倉庫から取り出して利用者に提供しています。
コペンハーゲン中央図書館
コペンハーゲン中央図書館は繁華街の一角にあります。たくさんの利用者でにぎわっていました。
デンマーク王立図書館
運河に映る建物は「ブラックダイヤモンド」と呼ばれています。美しい姿は観光名所となっています。
旧館の重厚な外観と閲覧室も魅力的でした。新館と旧館は道路をはさんで橋でつながっています。このガラス張りの橋の上に貸出カウンターがありました。
王立工科大学図書館
スウェーデンはインターネット普及率、携帯電話の加入率は世界のトップクラスです。図書館では利用者へのコンピュータソフト(テキスト、グラフ作成、メール)の貸出がありました。
2002年5月に新館がオープンしました。利用者スペースのうち、グループ学習室を12部屋に増設しました。グループ学習室の利用はとても人気があります。予約は図書館のHPから利用者のログイン、パスワードで行います。
ストックホルム市立図書館
70万人口(都市の中心部)のストックホルム市にある公共図書館です。アメリカの図書館からのヒントで、スウェーデン国内ではじめて開架図書室と児童図書室を持つ図書館として1927年に開館しました。開架図書室は「本の小宇宙」を思わせるデザインです。病院図書館、高齢者サービスハウス図書館など、大小90の分館を持っています。赤ちゃんが誕生すると、図書館は赤ちゃんへ図書のプレゼントをします。「ブックスタート」とよばれるこのサービスは、図書館利用の「きっかけ」を作ります。赤ちゃんは0歳から図書館の利用者です。