『元和版 下学集』解説
  川嶋秀之

東麓破衲著
文安元(1444)年成立
元和3(1617)年刊

  国語辞書。著者東麓破衲(東山の麓の貧しい僧の意)とはいかな る人物か不明。室町時代に編集された代表的な国語辞典で、当時の 語彙を「天地」「時節」等意義により十八の門に分類してその漢字 を掲げ片仮名で読みを示し時に詳しい解説を加える。イロハ引きの 「節用集」にくらべ版本はあまり多くない。元和3年に刊行された 元和版「下学集」は版本として最初のもので、寛永以降の版本の祖 となるものである。菅文庫蔵の元和版「下学集」は、刊記の文字及 び匡郭の欠の状態から山田忠雄氏による分類のC類5種本に属する と見られる。C類本は改刻本であるが、本文蔵本は摺刷状態良好で ある。表紙に「元和刻下学集」の書き込みがある。

(本学教育学部助教授)
Last updated: 2001/2/27