リチャ−ド・ド−キンス 著(日高敏隆・岸 由二・羽田節子・垂水雄二 訳)
『利己的な遺伝子』(紀伊國屋書店)

  本書は 1976 年に出版されたR.ド−キンスの“The Selfish Gene”、邦訳
『生物=生存機械論』の第2 版である。生物の体は、遺伝子がより効率的に自身
を複製し保存するための乗り物=生存機械であるという、著者の大胆な仮説が世
界中で大きな反響を呼んだ。                       
 著者は、動物やヒトの社会で見られる様々な行動、たとえば雄と雌や親と子の
間の葛藤、なわばりや攻撃などの社会行動が、一体どのように進化したのかを、
個体から遺伝子レベルに視点を変えて解明していく。ダ−ウィンによれば、個体
レベルの自然選択が進化の原動力になるが、実は、自身のコピ−をいかに増やす
かという遺伝子の利己性こそが進化の本質であるというのが、著者の主張である。                                  
 本書は500 ペ−ジを超える大冊であるが、諸君のような“門外漢から専門家へ
移行中の学生”も、著者が想定する立派な読者である。理科系に限らず、このよ
うな生物観・人間観の本質にふれる本にぜひ挑戦してほしい。

山 根 爽 一(教育学部・理科教育講座)

ラベルの記号 467:Daw