世界の森林は、確実に減少している。なかでも熱帯林は、年間に一千万ha以上 が減少するといわれている。本書は、その熱帯林と密接に関連して営まれている 焼畑システムのメカニズムと荒廃を、インドネシア東カリマンタンのフィ−ルド 調査から明らかにしている。テ−マは、あくまで持続的なシステムとしての焼畑 を中心にしている。が、自然とのバランスを保つ社会システムや貨幣経済との関 係からみたシステムの崩壊過程の分布など、アプロ−チが面白い。 とくに、規制的な共有地管理としての「タイトなコモンズ」の考え方とそれを 導く過程は、自然環境の保全、その中にある半自然・半人為的システムの捉え方 に新たな視点を見出している。自然の保護・保全に興味のある人には一読を勧め たい。きっと、自然・人の関わりは、一面的な見方では、不十分だということが 分かると思う。