本書はメディアと特定の人物の絡まりという点から1930年代のアメリカを描い た本である。リンドバ−グ、ピュリツア−、ハ−スト、ロ−ズベルト、オ−スン ウエルズ等々の人物や彼らにまつわる出来事が、当時のメディア状況を背景に物 語風に描写されている。アメリカ史の読み物としてもたいへんおもしろいが、メ ディア史として読むことを勧める。マスコミに関心のある学生なら是非とも知っ ておかなければならない人物・出来事・用語が豊富に出ているので、知らず知ら ずのうちにメディア論を学習することになる。また、当時のメディア、ジャ−ナ リズム状況が意外に現代のそれと似ていることに気づかされるはずである。読み すすめるなかで、今日のジャ−ナリズムのあり方について考察するヒントも多く 発見できる。文章は平易であり、楽しく読めて、勉強にもなる大変お得な一冊で ある。