中 村 方 子 著
『ミミズのいる地球』(中公新書)

  北米大陸東岸とユ−ラシア大陸とで、陸生と淡水生のミミズの分布がきわめて
よく似ているというミヒャエルセンの研究を参考にしながら、ウェゲナ−は、か
って大西洋は存在せず、環境の類似した一つの大陸があったとした。いわゆる大
陸移動説を唱えた。現存するミミズをとおして地球の歴史を知ることができると
は大変興味深い。                           
 ミミズは、土と一緒に有機物を食べて生きている。土はミミズの口から入って
外に出ると、また土になる。土は細かい団粒状になっているので通気性もよくな
り肥沃な土壌になる。農家の人々が「土が死んでいる」ということは、化学肥料
や農薬の散布などによって「ミミズが死んだ」ということを意味している。殺虫
剤をスプレ−された植物の葉を土壌中でミミズが食べ、このミミズを餌にする鳥
類や小動物も殺虫剤の影響を受けることになる。地球環境や農業の将来を考える
ためにも一読してみるに値すると思う。

我 謝 孟 俊(教育学部・理科教育講座)

ラベルの記号 483:Mim