本書は、現代社会のあり方を深くとらえ、しかもそこで生活することの魅力・ 面白さを取り出してくれる数少ない本の一つだ(見田宗介『現代社会の理論』 (岩波新書)も付け加えたいけれど)。 献身や慈善活動といった旧来のイメ−ジを越えて、「不思議な関係と意外な関 係」というボランティアの楽しさがなぜ生じるかを、その人との関わり方の特徴 から明らかにし、その関係のあり方が動的情報が発生するネットワ−クと同じで あることを説く。「相互依存型のタペストリ−」、「自発性パラドックス」 (=「言い出しっぺの損」)、「バルネラブル(ひ弱い)な立場に立つことで窓 が開かれる」と言う言葉だけを取り出すとちょっと気取って聞こえるが、話の中 身は日常の生活で感じることに密着している。 紹介される様々なボランティアの例に接するだけでも、軽やかに「力が流れ込 んでくる」気分になることを請け合おう。