中 尾   浩 著
『文科系のパソコン技術』(中公新書)

 文科系の人間はパソコンとどうつきあっていったらいいのだろうか。若いソシ
ュ−ル研究者はその道筋を歯切れよく、明快に語っている。         
 文科系の人間にとって大切なのはコンピュ−タの工学的な仕組を知ることでも
プログラムの書き方を覚えることでもない。何よりも必要なのは効率のよい高速
の「言語処理マシン」として使えるようになることだ。したがって新しいソフト
の売り文句である多彩な機能などはあまり重視しない(ただしネットワ−クを利
用する通信機能は別にして)。徹底的にこだわるのはワ−プロ(文字処理)なら
ぬ、テクストプロセッシング(文章処理)だ。この観点からパソコンを用いた文
系の作業=文章・論文の作成の方法を説いていく。             
 やや強引に言えば、本書は60年代末に出て評判を呼んだ梅棹忠夫氏の『知的生
産の技術』のパソコン版と言えるだろう。梅棹氏は同書で既製品を上手に利用す
ることを説いた。私たちも既成の装置であるパソコンを利用しない手はないだろ
う。                                  
  本書はOSとしてWin95 が導入されていることを前提にして書いているが未だに
Win3.1の筆者にとっても非常に有益であった。

佐 藤 和 夫(人文学部・人文学科)

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