ヨ−ロッパとひとくくりで言うことはできても、少し詳しく見れば、それは実 に多様多彩で、様々な問題と対立をはらんでいる。東欧や北アフリカからの人の 移動、言語、工業と農業など・・・。それにもかかわらず一方ではひとつのヨ− ロッパという統合的理念も強く働いている。その最たる現れがヨ−ロッパ連合 (EU)だ。 著者は社会学者として資料のみならず、ヨ−ロッパを縦横に旅しながら、「い くつものヨ−ロッパ」、そして「ひとつのヨ−ロッパ」について自分の思いを素 直にわかりやすく語っている。さらにその関心は大西洋を越えてカナダのケベッ ク問題にまでおよぶ。 この本を通してヨ−ロッパに関心を持ったならば、次には西川・宮島編『ヨ− ロッパ統合と文化・民族問題』(人文書院)に進んでみてはいかがだろうか。