宮 島  喬 著
『ひとつのヨ−ロッパ いくつものヨ−ロッパ』(東京大学出版会)

 ヨ−ロッパとひとくくりで言うことはできても、少し詳しく見れば、それは実
に多様多彩で、様々な問題と対立をはらんでいる。東欧や北アフリカからの人の
移動、言語、工業と農業など・・・。それにもかかわらず一方ではひとつのヨ−
ロッパという統合的理念も強く働いている。その最たる現れがヨ−ロッパ連合  
(EU)だ。                              
 著者は社会学者として資料のみならず、ヨ−ロッパを縦横に旅しながら、「い
くつものヨ−ロッパ」、そして「ひとつのヨ−ロッパ」について自分の思いを素
直にわかりやすく語っている。さらにその関心は大西洋を越えてカナダのケベッ
ク問題にまでおよぶ。                          
 この本を通してヨ−ロッパに関心を持ったならば、次には西川・宮島編『ヨ−
ロッパ統合と文化・民族問題』(人文書院)に進んでみてはいかがだろうか。

佐 藤 和 夫(人文学部・人文学科)

ラベルの記号 302.3:Miy