太 田 次 郎 著
『ヒトの生物学』(裳華房)

 私共、ヒトを生物学の立場から見直し、ヒトはどのような特徴をもち、どんな
働きをしているか、などを分かりやすく解説したものである。        
 教科書・参考書として書かれたものであるが、専門用語を整理し、複雑な化学
式や数式などは最小限に止めているので、人間を対象とした専攻分野の学生にお
勧めできる。                              
 内容は7章にまとめてあり、生物界におけるヒトの位置ではヒトになるまでの
進化、ヒトの特徴が面白く書かれている。次に、人体の構成についてふれ、人体
の機能と調節では、呼吸や血液、ホルモンや免疫のことが述べられてあり、後半
には、ヒトの生殖、ヒトの遺伝に関して、分かりやすく述べられている。血液型
の遺伝、遺伝による症候群、性と遺伝など、常識的にも知っておきたい知識が示
されている。最後にヒトと自然の章では生態系の話、ヒトが利用する資源の話、
人口爆発の問題、そして、自然保全について示されている。教養の知識としても
必要な内容である。

鈴 木 昌 友(教育学部・理科教育講座)

ラベルの記号 469:Ota