私共、ヒトを生物学の立場から見直し、ヒトはどのような特徴をもち、どんな 働きをしているか、などを分かりやすく解説したものである。 教科書・参考書として書かれたものであるが、専門用語を整理し、複雑な化学 式や数式などは最小限に止めているので、人間を対象とした専攻分野の学生にお 勧めできる。 内容は7章にまとめてあり、生物界におけるヒトの位置ではヒトになるまでの 進化、ヒトの特徴が面白く書かれている。次に、人体の構成についてふれ、人体 の機能と調節では、呼吸や血液、ホルモンや免疫のことが述べられてあり、後半 には、ヒトの生殖、ヒトの遺伝に関して、分かりやすく述べられている。血液型 の遺伝、遺伝による症候群、性と遺伝など、常識的にも知っておきたい知識が示 されている。最後にヒトと自然の章では生態系の話、ヒトが利用する資源の話、 人口爆発の問題、そして、自然保全について示されている。教養の知識としても 必要な内容である。