第二次大戦以前の日本の倫理や宗教の解決目標は、生活の困窮・貧しさの超克 にありました。しかし今は違います。逆に、生活の豊かさの誘惑に耐える人間の 生き方が問われています。また、高度の経済生活がもたらす、だれもが予想もで きなかった虚脱感情を、いかに充足するかの方法論が求められています。 現代が要求する以上の二つの問いに答えるために、心経の空のこころ(何もの にもとらわれないこころ)を、あらためて学んでみたいと思い、著したのが本書 (約 250ペ−ジ)であると著者は述べています。般若心経は仏教の心を良く表わ している経典として、現在でも宗派に関係なく、政財官界を問わず多くの人々に 親しまれています。 著者は臨済宗妙心寺派の前・教学部長で、般若心経の講義では第一人者として 世間で認められています。本書とともに、「自己を考察し、思索する」ことによ り、空のこころを学んでみませんか。