パ−ル・バック 著(村岡久子 訳)
『母よ嘆くなかれ』(法政大学出版局)

 例え読んだことはなくても、パ−ル・バックは『大地』という分厚い 3部作の
小説を書いた作者として知っている人は多いと思う。            
 この本は、そのパ−ルバックが書いた極めて薄い、小さな本である。村岡久子
の名訳で題名が『母よ嘆くなかれ』となっているために却って内容がわかりにく
くなっているが、原題は“ THE CHILD WHO NEVER GREW ”即ち、精神遅滞児のこ
とである。                               
 作家パ−ルバックの子供は精神遅滞児であった。そうとは知らず一生懸命教え
た母親、気がついたら娘は握った掌にいっぱい汗をかいていたこと、名医さがし
の日々、スパッと真実を告げて立ち去ったドイツ人医師、よい施設さがし、施設
になれない子供、しかし子供が施設になれてしまったらさびしくなった母親。こ
うしたことを彼女は筆を抑えて書いている。教師になる皆さんには是非読んでも
らいたい。そういう子をもった母親、ひいては人間を理解するためのバイブルと
して。

中 島 潤 子(保健管理センタ−)

ラベルの記号 936:Hah