高 橋 義 人 著
『ドイツ人のこころ』(岩波新書)

  著者は、まず、「ゲ−テやベ−ト−ヴェンを生んだ国がどうしてヒトラ−のよ
うな野蛮な人間を生み、またそれを許容したのか」という問を起点とする。そし
て、ドイツ的なものを形成しているのはドイツの歴史と風土であるという観点に
立ち、「ライン河とロ−レライ」、「菩提樹とさすらい人」、「南国イタリアへ
の憧憬」、「クリスマスの楽しい風習」、「緑ゆたかな森」という5つの視角か
ら、日本人に馴染み深い事象にも触れつつ、また、著者自身の留学中の体験をも
よりどころとして、「ドイツ的なもの」を描くことによって、ドイツ人の心の奥
底を探ろうと努めている。                        
 われわれに、ドイツ的なもの、ひいては、ヨ−ロッパ的なものを知る手掛かり
を提供してくれるものとして推薦したい。214 ペ−ジ。

鈴 木 邦 武(人文学部・コミュニケ−ション学科)

ラベルの記号 361.5:Tak