1953年に本放送が始まって以来40年余、テレビはすっかり日常生活に溶けこん でいる。だが、これほどお馴染みのテレビはいったいどのようなものかというこ とを真剣に考えてみたことのある学生諸君は何人いるだろうか? 著者フィスクらがいうようにテレビは人間の構成したものであって、その活動 や表現は人的選択・文化的決定・社会的圧力の産物である。テレビはテレビの 〈やり方〉にしたがって現実を構成する。決して事実を忠実に媒介する透明なメ ディアなどではない。それではテレビはどのようにして独自の現実を構成するの か、またテレビはどのようなメディア論的特徴を持っているのか、こうした疑問 に答えるのが本書のテ−マである。 記号論独自の用語がちりばめられていて、最初は読みづらいかもしれないが、 ゆっくり何度も読めば理解できると思う。マスコミに関心のある学生には必読の 書である。