現代人の我々は日常生活の中でさまざまな「もの」に囲まれて生活をしている。 生活に必要な道具や機械、家具や建築物、新聞・雑誌やテレビ映像など、それら 総ての「もの」は「デザイン」という過程を経て我々の手に届いてくる。現代に おいて「デザイン」という行為は、生活の中で重要な要素となっている。 本書は、その「ものを作り出すデザイン」を、19世紀の産業革命を出発点とし て20世紀社会を形成したモダンデザインの流れとして歴史的に概観するとともに、 それぞれの時代の社会が「ものをデザインする」ことによって我々の生活の労働 や教育を管理し、人間の思考や感覚・記憶と関わってきたかを述べている。 産業革命以来の大きな波、いわゆるデジタル革命の時代をむかえた現代、近代 デザイン 100年間の足跡を振り返ってみることも、案外意義があるのではないだ ろうか。