立 花   隆 著
『「知」のソフトウェア』(講談社現代新書)

  大学の授業がおもしろくないという話をよく聞くが、その責任の一部は大学教
師にあるということは真実であるだろう。しかしながら、人の話がおもしろいか
どうかを感じるのは話を聞く側の知識の有無によることも事実である。前提とな
る知識がなければ判断のしようがないのである。              
 本書は立花隆の知的作業のノウ・ハウを説明したものであり、情報収集と整理
の重要性が述べられている。その内容のすさまじさには、多少なりとも本を読ん
だり研究活動をしたりしている人にとっては驚かされる。たとえば、自分の関心
のあるテ−マについて勉強したいと思うときには「できるだけ多くの金を一挙に」
本に使うことを勧めている。これも情報収集をするためである。しかしながら、
普通の人にはこうしたことは現実には不可能であろう。したがって、情報収集の
手段として大学図書館を利用することが最良であることが理解できるであろう。

小 島 秀 夫(教育学部・情報教育講座)

ラベルの記号 002:Chi