生物には多様な種があり、既知の生物の種類は約 150万が知られている。多く の生物のさまざまな多様性が認められるのは、長い進化の歴史をへて、現在の姿 になって来たからである。一方、20世紀の後半の生物学はDNAなどの解明を含 めた分子生物学を軸に発展してきた。この分子生物学の成果を踏まえて、生物の 多様性を分かりやすく解説しようとしているのが本書である。 内容は 8章からなり、初めは、生命の連続性と生物の多様性、地球上の生物の 多様さ、種の構造などについてふれ、次に、種の分化や種間の類縁などについて 解説し、最後に分子生物学の研究成果を入れながら系統や、分類体系について述 べている。生物の多様性の解明は生物学が始まったときからの課題であり、多様 性の科学的な分析は今後の問題であるが、現在までどんなことが分かり、どのよ うに研究されてきたか、そして、今後、どのような研究が必要であるかを示唆し ている。