ポントリャ−ギン 著
『常微分方程式』(共立出版)

  この本は(常)微分方程式の入門書である。微分積分は、様々な分野で現象の
分析手段の道具としてさかんに使われている。諸現象の法則は多くの場合微分方
程式として表現される。このことは、微分積分の有用性は単にその数学的議論を
なぞるだけではなかなか分かるものではなく、他分野との関係を意識しながら微
分方程式の勉強をしてみるとよく分かるということにつながるのである。   
 この本は、このような趣旨に合った推薦したい入門書の一つである。微分積分
と線型代数の初歩的なことをある程度知っていれば読めるように、極めてていね
いに分かりやすく書かれている。それでいて厳密であるという独特な語り口であ
る。はじめに簡単な方程式で基本的なことを説明し、最後に応用を意識した「安
定性」を扱っている。最後の部分では、発振器などの工学からの例がたくさん出
ている。付録の線型代数の話も非常に参考になる。

曽 我 日出夫(教育学部・知識経営講座)

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