藤 井 貞 和 著
『古典を読む本』(三省堂)☆

 国語教育叢書(国語の先生のための参考書シリ−ズ)の一冊であるこの本は、
タイトルからいっても固苦しく感じられるかもしれません。しかし、目次をちら
と見ていただければ、「タブ−によって表現の世界は歪んでいる」「禁じられる
愛について」「もののけをどうよむか」など、おどろおどろしい項目がならんで
おり、興味をひかれる人もいるのではないでしょうか。この本は、上のテ−マに
見るように、古文を面白く読むためのヒントに満ち満ちています。と同時に、
「信号としての助動詞と助詞」「敬意の地図を歩く」など古文をしっかり読むた
めの項目もちゃんと用意されています。「せ・〇・き・し・しか・〇」などと  
文法を丸暗記させられ古文にいやな思い出しか持っていない人は、これらの項目
を読めば、文法は、ちょうど山歩きにおける磁石と地図のようなものだと理解し
ていただけると思います。上記の項目以外にも面白いトピックが、多くあり、拾
い読みでもいいので、この本にふれていただければ、今まで知らなかった古文の
新しい世界に、目を開くことができることを保証いたします。

森  雄 一 (人文学部・人文学科)