女性体育史研究会 編
『近代日本女性体育史』(日本体育社)☆

  スポ−ツは健康と強い関係をもっているが、封建的な家中心の社会では「女ら
しさ」と対抗する文化だった。女性はスポ−ツする男性の応援者にとどまり、そ
の伝統は21世紀間近い現代でも、甲子園の高校野球のスタンドで涙する女子高生
たちに受け継がれて生きている。                     
  日本の女性たちが体育する自由を、学校制度の中でどのように獲得していった
か?12名のパイオニアを追って、そのプロセスを知ることができるのが本書であ
る。                                  
  美しい舞踏、美しくなるための体操、リズミカルな民族舞踊、オリンピックへ
の出場、身体トレ−ニングだけでなく「身体の教育によって」人格教育を実践す
る女教師、新しい学校経営によって女性すべてが運動するためのリ−ダ−をつく
る人・・・。水戸出身の豊田英雄をはじめ人見絹枝、三浦ヒロ、成瀬仁蔵などの
巨星が次々に出てくる。彼らの生きかたにも学ぶところがあり、刺激的である。

国 枝 タカ子(教育学部・保健体育講座)