スポ−ツは健康と強い関係をもっているが、封建的な家中心の社会では「女ら しさ」と対抗する文化だった。女性はスポ−ツする男性の応援者にとどまり、そ の伝統は21世紀間近い現代でも、甲子園の高校野球のスタンドで涙する女子高生 たちに受け継がれて生きている。 日本の女性たちが体育する自由を、学校制度の中でどのように獲得していった か?12名のパイオニアを追って、そのプロセスを知ることができるのが本書であ る。 美しい舞踏、美しくなるための体操、リズミカルな民族舞踊、オリンピックへ の出場、身体トレ−ニングだけでなく「身体の教育によって」人格教育を実践す る女教師、新しい学校経営によって女性すべてが運動するためのリ−ダ−をつく る人・・・。水戸出身の豊田英雄をはじめ人見絹枝、三浦ヒロ、成瀬仁蔵などの 巨星が次々に出てくる。彼らの生きかたにも学ぶところがあり、刺激的である。