深 川 英 雄 著
『キャッチフレ−ズの戦後史』(岩波新書)

 広告は消費や社会生活に密接にとけ込み、人びとに大きな影響を及ぼしてい  
る。中でも新聞・雑誌広告やテレビ・ラジオのCMを彩るキャッチフレ−ズは、そ
れぞれの時代の空気を見事に映し出し、記憶に残るものが多い。      
 本書は広告会社で長年、広告制作に携わってきた著者の手になるもので、「木
炭車よさらば!」「生活を豊かに楽しくする家庭電化」「大きいことはいいこと
だ」「モ−レツからビュ−ティフルへ」「人間らしくやりたいナ・・・人間なん
だからナ」「女性よテレビを消しなさい。週刊誌を閉じなさい」「こんにちは土
曜日くん」「亭主元気で留守がいい」など戦後の名作を時系的にとりあげ解説を
している。文章も平易で肩のこらない読み物に仕立てあげられている。    
 本書は広告に関心のなかった人も、興味をもつ人にも広告の役割やコミュニケ
−ション機能を理解する手助けになろう。巻末にキャッチフレ−ズ 500選がつい
ており楽しい読み物である。

小宮山 恵三郎(人文学部・コミュニケ−ション学科)

ラベルの記号 674:Fuk