池 井   優 著
『オリンピックの政治学』(丸善ライブラリ−)

  オリンピックの創始者ク−ベルタンの情熱はその教育理念と分かちがたく結び
ついていた。若者の美しい身体、希望の強さと冒険心、チ−ムワ−ク、向上心、
そして永遠の友情と愛。それらすべてはスポ−ツによって実現できると考えた。
しかし19世紀後半は戦争拡大の時代であり、毎日のように人間の血が流されてい
た。この時、彼は啓示を受けた。もしも世界規模でスポ−ツ教育、すなわちオリ
ンピック・ム−ブメントを展開できれば、若者の友情は地球上のあらゆる人種を
超越して戦争撲滅の平和運動の場になるはずだ。            
 そのようにして、オリンピックは百年を経過した。スポ−ツは若者の華となっ
た。ところが、オリンピック大会が世界の祭になるにしたがって、祭を政治的に
利用しようとする勢力が出現した。本書はモスクワ大会(ボイコット)、ミュン
ヘン大会(テロ)などが、なぜ?どのようにして?どんな連中に利用されたかが、
詳しく解明されて書かれている。

国 枝 タカ子(教育学部・保健体育講座)

ラベルの記号 786.6:Ori