マイケル・ポラニ− 著(佐藤敬三 訳)
『暗黙知の次元』(紀伊國屋書店)

 人は顔の各部分をはっきりと捉えていなくても表情を全体として識別する。 
一画一画を意識することなく様々な字を区別しながら間違いなく書くことができ
る。
 単語にはそれについての規則がある。文の作成はそれが含む単語についての規
則に制御されるが、その規則で文の作成がすべて説明できるわけではない。生命
現象にも同様の階層性がある。個体の動きは細胞を説明する法則では捉えきれな
い。
 科学は科学者の独立した活動により絶え間なく形成し直されているのに、その
すべての領域にわたる統合が保たれている。
 このように言われて、なるほど面白いなと思ったあなた、本書を読むといいで
すよ。
 マイケル・ポラニ−は化学の領域で一級の仕事をしてから、科学社会学的考察
に進み、知識一般の理論、存在論、文明論を展開した20世紀の「哲学者」である。
本書にはその思想のエッセンスが記されている。

木 村   競(教育学部・知識経営講座)

ラベルの記号 115:Pol