アポロ11号、12号に続いて3 度目の月着陸を目指したアポロ13号は、月飛行軌 道で異常事態に見舞われた。酸素タンク、燃料電池、電力系統が破損したのだ。 残された酸素と燃料電池を使って乗組員 3人がいかに地球に帰還できるか、深刻 な難問に直面した。刻々と増える二酸化炭素の除去、電力と水消費の削減、船内 の温度低下、次々と発生する新しい状況に対応する地上基地におけるシミュレ− ションと、宇宙船との交信。様々な困難を乗り越えて緊張の87時間後に、宇宙船 は無事地球に帰り着いた。 本書はアポロ13号の船長(ラベル)がコラム執筆者クル−ガ−と共同で書いた もので、映画化され一躍有名になった。フェイルセイフが生命であるシステムエ ンジニアリングのあり方、事故が発生した場合の危機管理と、的確かつ速やかな 判断の重要性をまざまざと教えてくれる。ずっしりした読後感が残る好書である。