本書の著者ジェ−ムス・W・ヤングは、アメリカ最大の広告代理店トンプソン 社で広告の制作に携わり、後にアメリカ広告業界の中心的地位についた人物であ る。内容は、著者が長年のデザイン現場での経験をもとに、シカゴ大学で広告を 専攻する大学院生に講義した講義内容を本としてまとめたものである。広告にお いてのアイデアの重要性や広告制作過程に意識下で進行するアイデアの形成過程 を体系化したり、通常「ひらめき」などと感覚的に捉えられがちなアイデア作成 に一定の明確な過程を示し、原理と方法に分類したりして解説している。 アメリカの広告業界では「バイブル」と愛称され、「1時間もあれば読めてし まえるが生涯心を捉えて離さない本」とも紹介されている。解説で竹内均も「ア イデアのつくり方は、広告業界でも自然科学でも同一である」と言っているよう に、デザイン関係外の人たちにも広く読めるものであろう。